こんな悩みを解決
- 論文を読んでみたいけど、やり方がわからない
- 院内発表での文献集めを、効率的に行いたい
- 海外の論文も読んでみたいけど、英語がわからない
こんな悩みありませんか?
エビデンスが重要視される医療界で、論文の調べ方・読み方をおさらいしておきたいですよね。
この記事で紹介する方法を実践すれば、エビデンスが高い英語論文が見つけ出せるようになります。
論文検索スキルは、今後院内発表などで論文を調べる機会が増える新人PTにとって必須のものです。しかし論文検索では、ちょっとした検索のコツが必要です。
論文検索のコツ
P:患者・集団・問題(Patient/Population/Problem)
I:介入(Intervention)
C:比較対象(Comparison)
O:結果(Outcome)
このPICOと言われるフレームワークを使うだけで、格段に検索精度が高まります。ぜひ最後まで読んで、エビデンスの高い論文を見つけるスキルを身につけてください。
タップできる目次
理学療法士にとっての論文を読む重要性
理学療法士にとって、エビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice, EBP)が非常に重要です。最新の研究成果を理解し臨床に適用することで、最新で安全性の高い治療が行えます。
論文を読むメリット
- 最新の治療技術や方法論を学べる
- 院内発表資料の質が上がる
- 患者さんに信頼性の高い情報を提供できる
情報過多な現代で、良い情報は向こうから来てくれません。情報の質を高め、自信を持って治療を行うために、論文を読むことは非常に重要です。
論文の基本について解説
学校で教わったっけ......
まずは論文の構成や研究モデルを説明していきます。
論文の構成
多くの研究論文は以下の構成です。効率的に論文を探すためには、「タイトル」と「要約」から目を通しましょう。
タイトルと要約で、探している論文に近いと感じたら、「結果」「考察」「結論」を読み進めます。これらの章に、重要なことが書かれている可能性が高いです。
エビデンスレベル
「エビデンス」といっても、その中でもレベルがあります。エビデンスレベルの高い情報を得ることが重要です。
「ランダム化比較試験(RCT)」と呼ばれるものが、もっともエビデンスが高い研究モデルです。
さらに、ランダム化比較試験をいくつも比較する「系統的レビュー(Systematic review)が論文の中で信頼性が高いものになります。
ランダムか比較試験とは
系統的レビューとは
論文を検索する時に、これらのキーワードを組み合わせることで信頼性の高い論文を見つけることができます。
信ぴょう性と妥当性
論文を検索する上で意識しておきたいことは、信ぴょう性と妥当性です。
信ぴょう性は「エビデンスが高い論文か?」
妥当性は「自分の症例に適しているか?」
と言い換えられます。
弓矢の的でイメージするとわかりやすいです。
「弓が中心に近いか」=信ぴょう性が高いか
「弓がまとまっているか?」=妥当性が高いか
信ぴょう性が高いことは当たり前ですが、妥当性を意識すると自分が探している論文が見つけやすくなります。
英語論文を読む重要性
論文の中でも、英語の論文を読むことは、理学療法士にとって非常に重要です。
最新の研究成果は英語で発表されることが多く、日本人の研究であっても世界に発表する場合は英語が選択されます。
論文数の差
引用回数の差
論文数・引用数が多いということは、それだけ信頼性の高い論文が多くあるということです。
読まない手はありませんね。
教科書の参考文献欄から論文を探す
エビデンスの高い論文を効率的に見つける有効な方法です。
教科書は執筆の際に、厳密な査読プロセスを経ています。そのため、引用されている論文は信頼性が高く、重要な研究である可能性が高いです。
ココがオススメ
- エビデンスレベルが高い傾向がある。
- 膨大な論文の中から、重要なものを効率的に見つけ出せる。
- その分野の主要な研究や研究者を把握しやすい。
ココに注意
- 執筆に時間がかかるため、最新情報ではない可能性がある。
- 著者の視点によって、引用論文に偏りがある可能性がある。
教科書の参考文献欄で論文を探すことは、信頼性の高い重要な研究を効率的に見つける有効な方法ですが、その限界も認識しつつ活用することが重要です。
論文検索サイトで探す方法
論文サイトでは、膨大な量の最新論文にアクセスができます。しかし、信ぴょう性・妥当性の高い論文を探すためにはコツが必要です。
以下のポイントを抑えて検索練習をすると、必要とする論文をすぐに探し出せるようになります。
ポイント
- 理学療法士向けの論文検索サイトを使用する。
- PICO方式での検索テクニックを身につける。
- 翻訳サイトを活用する。
理学療法士におすすめの論文検索サイト
様々な論文検索サイトがありますが、まずはこの3つを使ってみましょう。
PubMed:信頼性の高い医学論文の宝庫
アメリカ国立医学図書館が運営する生命科学・生物医学分野に特化した論文データベース
3000万件以上の論文が収録されており、信頼性の高い医学論文を効率よく検索することができます。
医療分野ではもっとも利用されている検索サイトです。
※日本語論文には対応していません。
Google Scholar:使いやすさ抜群
Googleが運営する論文検索エンジン
Google検索と似た感覚で、キーワードを入力するだけで簡単に論文を検索することができます。
検索結果一覧から引用数が確認できる点と日本語論文にアクセスできることが特徴。
しかし、学術論文だけでなく、未査読の論文やプレプリントなども含まれているため、情報の質を見極めることが必要です。
PEDro:理学療法士に特化
オーストラリアのジョージ健康研究所が運営する理学療法に特化した論文データベース。
5万件以上の臨床試験が収録され、理学療法士にとって非常に有用なデータベースです。
特徴は、検索キーワードを0から作らなくていい点です。PEDroの検索フレームワークに当てはめれば、検索できます。
※日本語論文には対応していません。
検索サイトによって公開されている論文は異なるため、3つとも活用して必要な論文を探していきましょう。
PICO形式で検索ワードを作成
検索しても、いい論文が見つからない...
いつもググっているように検索しても、探している論文は見つかりません。
妥当性を高めるためのフレームワーク「PICO」を使いましょう。
PICOに当てはめたPubMedでの検索例です。
(rotator cuff tear) AND (Physical Therapy) AND ((NRS) OR(VAS))
検索式の作り方は、以下の通りです。
- 各要素をANDで繋げる
- 類義語をORで繋げます
- 除外したいワードをNOTで繋げる
- ORとNOTで繋げる場合は、()で囲む
さらに以下のように、RCTやsystematic reviewも含めることで信ぴょう性の高い論文を見つけることができます。
(rotator cuff tear) AND (Physical Therapy) AND ((NRS) OR(VAS))AND (RCT)
使いこなして、妥当性・信ぴょう性の高い論文を見つけ出しましょう。
おすすめの翻訳サイト
DeepLとGoogle翻訳がオススメです。
どちらも非常に優秀な翻訳ツールで、年々翻訳精度が向上しています。私はまずはDeepLを使用して、補助的にGoogle翻訳を使用しています。文章はDeepLの方が自然な翻訳が行えて、医療単語はGoogle翻訳の方が正確なことが多いです。
DeepLはデスクトップアプリもあり、文章を選択して⌘+C+Cですぐに翻訳することができます。またChrom拡張機能を使うと、上記のようにページ内で翻訳することも可能です。
リハデミーの海外論文要約
理学療法士のためのオンライン学習プラットフォーム「リハデミー」でも、海外論文の要約を読むことができます。
リハデミー編集部が英語論文を端的にまとめてくれているため、初学者でも読みやすい内容となっています。
2024年9月時点で1688本の論文が公開されています。有料サービスですが、論文を読む習慣を作るためには非常におすすめです。
リハデミーについてもっと知りたい方は下記の記事を読んでみてください。
参考文献の書き方
発表資料を作っているんだけど、参考文献ってどうやって書くの?
参考文献の記載方法は、学会や雑誌によって様々な記載方法がありますが、医療分野でもっともポピュラーな「バンクーバー方式」について解説します。
バンクーバー方式では、著者が6名以下の場合は全員記載します。7名以上の場合は、最初の6名を記載し、「et al.」を付けます。
豆知識
Chat GPTなどの文章生成AIで、下記のように指示すると、簡単に参考文献用に並び替えてくれます。
以下の論文情報を、バンクーバー方式で参考文献の記載にしてください。
"""
論文情報をコピペ
"""
正確な参考文献リストを作成して、著作権や倫理的モラルに配慮することが重要です。
【まとめ】PICOでの検索を身につけて、論文検索精度をあげよう。
PICOは論文検索で重要なフレームワークです。
論文検索のコツ
P:患者・集団・問題(Patient/Population/Problem)
I:介入(Intervention)
C:比較対象(Comparison)
O:結果(Outcome)
さらに、エビデンスの高い研究法であるRCTや、それらをまとめたsystematic reviewを含めて検索をしていきましょう。